- 南の熱帯地域から北はヒマラヤ山脈におよぶ広い国土と、多くの人口をもつインドは、地方、民族、宗教、階層によって食文化が大きくことなる。
- インド料理の代名詞にもなっている香辛料たっぷりのカレーはどこの地方でも食べられる。
- 香辛料は揚げ物、焼き物、サラダ、お菓子にいたるまで使われる。
- ヨーグルトやバターなどの乳製品もよく利用される。
- 歴史
- インドでは紀元前2000年ごろ(日本-縄文時代後期)、インダス文明が最盛期をむかえた。
- 文明が衰えると周辺の民族の侵入が続き、多民族国家となってそれぞれの民族の食べ物が伝ええられた。
- 乳製品を常食することや、小麦粉で薄いパンを焼くところなどに西の民族の影響が感じられる。
- バラモン教の流れをくむヒンドゥー教では牛を神聖視するため、ヒンドゥー教徒は牛肉は食べない。
- 地域差はあるが、いまもカースト制度が残っていて、油を使わないいわゆる「浄性」の少ない食べ物は、バラモンや同じカーストの作ったものでなければならないとされる。
- そのため料理人は、バラモン出身者が多いといわれる。
- 特徴
- カレー
- インドでカレーという場合、香辛料をたくさん作った油煮料理のことを指す。
- 香辛料や材料、汁気がある、ないなどの違いで非常に多くの種類のカレーがあり、家庭でも毎食数種類のカレーを作るという。
- カレー料理の必需品の香辛料は、どの家庭でも常時10〜20種類は常備しているという。
- ガラム・マサラ
- クローブ(チョウジ)、シナモン、カルダモンほか何種類かの香辛料を混ぜ合わせたもので、インド料理に欠かせないスパイスで、市販品もあるが、我が家好みの味に調合することが多い。
- チャツネ
- カレーの添え物。
- 野菜や果物に香辛料を加えて煮込んだり、浸けたりしたもので、砂糖味の甘いものや、塩やトウガラシの入ったものなど、各家庭で好みの味のものを数種類常備している。
- 地域による特性
- 北西部のイランやアフガニスタンに近い地方
- ムガル朝の時代にイスラム文化の影響を受けている。
- 香辛料に浸けておいたヒツジやニワトリをタンドールという土のかまで焼いた料理や、シシ・ケバブ(羊肉のくし焼き)、ヨーグルトを使った料理などに中東料理との共通性がみられる。
- 味付けは比較的穏(おだ)やか。
- 南部
- ヒンドゥー教徒やジャイナ教徒の多い地方。
- チリペッパーやコショウなどの香辛料を好み、料理は非常に辛い。
- 菜食主義者が多く、豆(ダール)や野菜を使ったカレーやスープ、煮込みなど料理の種類は豊富。
- ココナッツもよく使われる。
- 中央部
- コルカタや西地方のムンバイ。
- 魚を揚げて香辛料やココナッツミルクで煮込んだ魚のカレーがよく食べられる。
- 主食
- 気候にあった作物が栽培された結果で分かれる。
- 北部
- パン類
- パンは精製していない小麦粉を水でこねて無発酵のまま焼いたチャパティが一般的。
- チャパティの生地を揚げたプーリーは、揚げた食べ物は浄性が高いという宗教上の考えから好まれる。
- ナンは生地を発酵させてタンドールで焼いたもので、精白粉が使われる。
- 南部
- 米
- 細長い米を湯とり法で炊いた白いご飯にカレーをかけるのが普通で、米に肉、野菜、香辛料、ココナッツミルクを入れて炊いたビリヤーニーやプラオなどは北部の米料理。
- 乳製品
- ヨーグルト
- ヨーグルトでつくるラッシーは、カレーにぴったりの清涼感のある飲料。
- バター
- チーズ
- 炒め物
- 水牛の乳や牛乳、ヤギ乳でつくるバターオイルのギーが使われる。
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