- タイの仏教は上座部(テラワーダ)仏教
- スリランカを経てタイに伝来。
- 厳しい修行と禁欲によって選(え)りすぐられた者、つまり出家して修業した僧侶だけに救済の道が開かれる。
- 信じていても、仏門に入らなければ救われない仏教。
- このことから”小数しか救われない”という意味の差別用語である。
- 小乗仏教という俗称が生まれたが、1950(昭和25)年の世界仏教会議で使用禁止の決議がされている。
- これに対するのは大乗仏教。
- サンガ
- サンガ ・・・国王が頂点に立つ僧侶だけで構成される上座部仏教特有の国家的組織。
- 非サンガ ・・・出家していない俗人
- 戒律厳守
- @性交 A窃盗 B殺生 C悟りを得たと嘘をつくこと、の4戒に違反した僧侶は無条件にサンガから追放される。
- 厳しい修行を経た者だけが救われるのが上座部仏教の特色であり、そこが黙っていても誰かが救ってくれる大乗仏教との大きな違いである。
- 出家
- 成人しているのに一度も出家していない者は”未熟者”と呼ばれて社会的地位がやや下となる慣習があるため、たとえ短期間でも出家して僧侶になる者が多い。
- 女性は出家して仏門に入ることができないので、その夢を息子に託す。
- 子どもを仏門に入れて修行させることは、親にとって最高の徳となる行為。
- 僧侶の生活
- 黄色い僧衣(チーオン)に着替える。
- 朝、手に鉢(バーツ)を持って托鉢(ピンターバーツ)にまわる。
- 僧侶の修行
- サンガにおける僧侶の序列はまず出家年数で決まる。
- 5年以下、9年以下、10年以上の3段階に区分される。
- サンガ内にはさらに9つの階級が存在し、毎年行われる国家試験によって決定する。
- 最高位は博士号と同等の資格を得る。
- 徳を積む/非出家者の仏教
- 一般大衆にも救済の道が開かれている。
- それを「タンブン」といい、徳(ブン)を積むことである。
- 寺院や僧侶に喜捨寄進して善行を積む。
- タンブンはサンガに対して行えばよく、どの僧侶、どの寺院であってもかまわない。
- スーパーマーケットでもタンブンセット(米・おかず・飲み物が入った袋)が売られている。
- 人々はタンブンを行うことによって、将来や来世の幸福が得られると信じて、その合計点をあげることに生きがいを感じている。
- 僧や寺には、大衆にタンブンの機会を与えている、といった意識があり、礼をいうのは物質的援助を受けた僧や寺ではなく、ブンを積ませていただいた一般の方である。
- バラモン教/ヒンドゥー教
- タイの寺院では仏教の様式とバラモン教/ヒンドゥー教の様式が共存している。
- 仏教とは、本来バラモン教/ヒンドゥー教の差別(カースト)主義に反対して生まれた平等を説く宗教であり、教義的に相反している。
- 仏教のどんな人間も平等であるとする考え方は、国家を統治するにあたって非常にまずいことだった。
- 国王は絶対で、すべての頂点に立っていなければならない。
- バラモン教は王の権力を維持するための必然として、アユタヤー王朝が意図的に隣国クメール帝国から導入した。
- バラモン教が、時を経るに従い土着の文化要素を加えながら細密化して形成されたのがヒンドゥー教である。
- 「バラモン」とはヒンドゥー教がもつ階級制度「カースト」の最上位に位置する司祭者階層を指す。
- タイにはヒンドゥー教として確立されてから伝来している。
- 華人の仏教
- 華人(タイ国籍の中国人)の信仰する仏教は本土中国から運び込まれた北伝仏教、つまり大乗仏教に儒教や道教的性格を加味した仏教である。
- その他の宗教
- 少数派の代表は、全国民の4%を占めるイスラム教徒。
- マレー半島南部のマレーシア国境地帯では多数派となる。
- これに続くのはキリスト教。
- この国でいち早く教育の普及に乗り出し、学校を設立して啓蒙活動を進めたのがキリスト教宣教師たちである。
- 特に進歩的な考え方の持ち主が多いバンコクには、現代のタイ仏教界に否定的態度をとる人も少なくなく、そういった人々が仏教に見切りをつけ、改宗するケースも増えているという。
- ピー/精霊信仰
- ピーとはタイ語で精霊、お化け、魂など実体はないが存在感だけはある幽体のことを指す。
- 民家の庭先やホテルの前など町の至るところに立っている小さな祠(サンプラ・プーム)がピーのすみか。
- ピーには幸運をもたらす良いものあれば人々を不幸にする悪いものもある。
- 人々は良いピーの加護を得られるようあがめ奉らねばならない。
- タイ人には迷信深い人も多いが、その根底にはこの”ピー”の存在がある。
- このピー信仰は地方へ行くほど強くなり、北部の山岳地帯ではこのピーだけを信じている少数民族も多い。
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