ツンドラ Tundra
(ロシア語)
  • 針葉樹林帯以北の陸上の大半を含む北極の平原で、スゲ、ヒース、低木種のヤナギ蘚類地衣類が優占する地域。
  • ツンドラと似た高山ツンドラは、世界の高山の森林(高木)限界線以上で見られる。
    • 南極にもわずかにツンドラがある。
  • ツンドラ気候の特徴は、冬が厳しく、年平均気温が低く、雪や雨などの降水量が少なく、夏が短い。
    • とくに北極のツンドラは、たえず凍結している表土の層である永久凍土層の影響を受ける。
  • 岩石の多い表土は夏季にだけ、様々な深さまで溶ける。
    • ツンドラの凍結した地面と平らな地形のために、水はけが悪い。
      • 地表に留(とど)まったり表土層に浸水した水は池や湿地を形成し、これが植物に水分を供給し、少ない降水量を補う。
    • 水はけが比較的よい所では、土壌の周期的な凍結と溶解が地面に規則的な多角形の亀裂を作り、構造土と呼ばれる地形を作る。
    • 水はけの悪い地域には、不規則な形の小丘ができる。
      • 夏に斜面の土が溶けると、土が斜面を下に向かって動いて流土階段を作る。
  • 植物
    • ツンドラに生える植物は種の数が少なく、その背丈も低い。
      • 植物が成長する期間が短いので、花の受粉による有性生殖よりもむしろ、分裂や出芽による無性生殖が行われる傾向がある。
    • 典型的な北極の植生を成すのはワタスゲ、スゲ、矮性低木、そしてこれらとともにみられる蘚類と地衣類。
      • 吹き荒れる風や、土壌が霜で持ち上げられて壊されることにも適応している。
      • 低温、弱い光、長い日照時間のもとで光合成を行う。
    • 高山の植物群落は、北極にはまれなカーペット状を成したり、クッションのような形の植物で構成されている。
      • 突風や大雪、大きく変動する気温に適応している。
      • 短い日照時間中に、強い日光のもとで光合成を行う。
  • 動物
    • 北極の野生動物は極地をとりまいて生存する。
      • 動物の多様性も、この厳しい環境では限られている。
    • 優勢な大型草食獣はジャコウウシ、カリブー、トナカイで、イネ科の草、スゲ、地衣類、ヤナギを食べる。
      • カンジキウサギとレミングは草やスゲを食べる。
      • 捕食動物にはオオカミ、ホッキョクギツネ、シロフクロウが含まれる。
      • ホッキョクグマ、ときにはヒグマも見られる。
      • 多くの鳥は夏にツンドラの低木地帯で巣を作り、冬がやってくる前に暖かい気候の地域に渡る。
      • 高山の動物にはシロイワヤギ、ビッグホーン、ナキウサギ、マーモット、ライチョウなどがいる。
  • ツンドラの生態系はわずかな妨害にも極度に敏感で、回復力に乏しい。
    • 地面を覆う植物がはがれてしまうと、永久凍土が深い所まで溶け、それによって地面が陥没し、土壌が失われる。
    • 車輪の跡は深い溝となり、何年もの間のこる。
  • ツンドラの動物は生息場所の破壊や過剰狩猟によって打撃を受けやすい。
    • ツンドラでは動植物がたがいに強く依存しあって共存しているので、動植物のどれが欠けても野生生物の絶滅につながることになる。
  • 参考:エンカルタ2007
関連HP
■北極圏のツンドラ域に生息するホッキョクギツネ・・・南極・北極科学館(東京都立川市)

2011/2/1
2011.06.02

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