- 古くは単に「詩」と呼ばれていたが、孔子が君子の教養書とし、儒教の経典である五経の一つとなったことから、「詩経」というようになった。
- 現在おさめられる305篇の詩は前11世紀から前6世紀まで(日本-縄文時代)の歌謡で、1句4音節の四言詩がほとんど。
- 孔子の編纂(へんさん)と伝えられるが不明な点も多いという。
- 漢代の宮廷には「詩経」の注釈家として斉・魯・韓の三学派が存在したが、現在伝わるのは民間で行われていた毛氏の説のみで、「詩経」はこのため「毛詩」とも称される。
- 六議(りくぎ)
- 「毛詩」の序文「大序」には詩の六義が説かれており、これは後世一貫して中国における詩の理念として継承されてきた。
- 六義とは、風(ふう)・雅(が)・頌(しょう)・賦(ふ)・比(ひ)・興(きょう)。
- 風・雅・頌
- 「詩経」の3つの内容分類で、王室の祖先をたたえ宗廟での祭祀(さいし)に演奏された頌、宮廷での儀式や宴会に演奏された大雅(たいが)と小雅(しょうが)、黄河流域の15の国の民謡である国風(こくふう)を指す。
- 賦・比・興
- 3つの表現法で、賦は直叙、比は比喩、興は隠喩または象徴と解釈されている。
- この中で最も精彩に富むのは諸国民謡に当たる国風で、自然発生的に生まれた労働歌や恋愛歌は、古代人の素朴な生活感情を反映したものとして、最近は民俗学からのアプローチが注目されている。
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