和紙 わし
Japanese paper
  • 日本の伝統的な原料と製紙技法によって製造される紙。
  • 明治以後に欧米から導入された製法による紙製品を西洋紙、略して洋紙というのに対応している。
  • 近年は、機械で製造した和紙もあり、古来からの手作業で製紙したものだけでなく、和紙本来の原料を使ったり、手漉(てす)き和紙の特徴を持つ紙の総称となっている。
  • 歴史
    • 中国で発明された紙が、4世紀頃には朝鮮に伝わり、写本や外交文書として日本にも伝来した。
      • 「日本書紀」には、610(推古天皇18)(飛鳥時代初期)高句麗から渡来した僧が、紙、墨などを作る名人であったと記録されている。
    • 日本で製造された紙で、年代が特定できる最古のものは、702(大宝2)(飛鳥時代末期)のものだといわれている、正倉院(奈良県奈良市)に所蔵されている美濃(みの)(現岐阜県)、筑前(現福岡県)、豊前(ぶぜん)(現福岡県東部)の紙で、戸籍の記載に使われた。
      • 奈良時代の「正倉院文書」には、約20カ国の紙産地が挙げられ、原料、製法、染色方法によって、230種類以上の品種が記録されている。
      • 地方で製造された上質の紙は、中央政府に納められていた。
  • 原料
    • コウゾ、ミツマタ、ガンピなどで、書道紙には竹、わら、木材パルプ、古紙などを混合したものを使う。
  • 特徴
    • 光の透過度が微妙な変化をみせる。
      • 古くから灯火の光を柔らかく拡散したり、障子にも使われてきたように、近代の電気照明でも、和室には和紙がもつ効果が利用されることも多い。
    • 耐久性
      • 折り曲げや引っ張りの繰り返しに強いため、日本の紙幣には和紙の技術が使われている。
      • 長い繊維をできるだけそのまま使い、添加物も使わないので、長期間の保存に耐える。
        • 明確な年代を把握できるもので、1300年以上の年月にわたって保存されている。
    • 吸湿性
      • 海外の美術品などが水害にあったときなど、しばしば和紙が使われるように、水分だけをうまく吸収して変質しやすい材料に影響を与えない。
  • 参考:エンカルタ2007
関連
関連HP
全国手すき和紙連合会
なかとみ和紙の里(山梨県身延町)

2010/10/28
2011.03.23

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