- 1910(明治43)年創刊の雑誌「白樺」は、武者小路実篤・志賀直哉・木下利玄・柳宗悦らの学習院出身者によって発足し、のちに有島武郎や有島生馬・長与善郎・岸田劉生・倉田百三らも同人として参加した。
- 小説や評論・戯曲・詩歌などの文芸作品を多く発表すると同時に、後期印象派を中心とした西洋美術や東洋美術もひろく紹介した。
- 1923(大正12)年に「白樺」は廃刊されたが、以後も同人は、それぞれ自己の文学を発展させていった。
- 白樺派が掲げた、自我を尊び個性を伸ばす理想主義は、暗く重苦しい自然主義文学によって行き詰まった文壇にさわやかな新風を送り、大正文学の幕をひらいた。
- その正義と人類愛を重んじる人道主義の作風には、社会の矛盾をとらえきれない現実的な限界もあったが、大正教養主義と呼ばれる思潮と相まって大正文学の主流を占めるようになり、後世の作家たちにも大きな影響を与えた。
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