- 仏教はキリスト教やイスラム教などに比べると、宗教的にはきわめて寛容。
- 仏教自身が興起したインドにおいても、8世紀(日本−奈良時代)に密教が成立すると、ヒンドゥー教や民間信仰の神々を数多くとりいれて、仏教の守護神としたり、大日如来の化身としたりした。
- 日本でも、「日本書紀」に、神道という古来の民俗宗教と仏教が矛盾なく信仰されている様子がしめされている。
- 奈良時代に入ると、例えば藤原氏が氏寺としての興福寺と、氏神としての春日大社を同時にまつったように、大寺院の鎮守社としての神社と、官国幣社に奉仕するための神宮寺などが成立し、神のための納経が行われるようになった。
- 平安時代に入ると、延暦寺と日吉大社、東寺と伏見稲荷の関係のように、この傾向は一層強まり、神前において読経をしたり、神に対して菩薩号をつけたりした。
- これは、仏教の仏を本地(ほんじ)すなわち本源とし、神道の神をその垂迹(すいじゃく)すなわち衆生を救済するために仏や菩薩がとった具体的姿とする、本地垂迹思想の成立にもよるが、むしろ、同一経済集団(氏族)による、神社と寺院の経営に基礎を持つものと考えられるという。
- 神仏習合は神仏分離政策が行われる明治維新まで続いた。
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