- 精進は仏教用語で、ひたすら道を求めて修行するという意味だが、精神修養を形として表すために、一定の期間行動を慎(つつし)み、肉や酒をとらないという意味に転化した。
- 精進の期間に入る前には精進固め、終わったあとには精進落としといって肉食をする習慣もできた。
- 現在では、和食の一つとして仏教に関係なく普通に食べる。
- 歴史
- 始めは粗末な食事という意味だったのが、平安時代には野菜食という意味になる。
- 本格的なものは鎌倉時代に日本曹洞宗の開祖道元が、宋に留学した際に習ってきたものを伝えたのが始まりといわれる。
- 室町時代には禅宗の客膳料理としての形ができ、一般の人々の間にも広まっていった。
- 江戸時代の黄檗宗の普茶料理の影響も受け、今日の形式がととのえられた。
- 献立
- 野菜を主に、豆腐、ゆば、納豆、がんもどきなどのダイズ製品や、小麦粉のグルテンでつくった麩、キノコ、山菜、こんにゃく、干しシイタケ、かんぴょう、コンブなどの乾物、ゴマやクルミ、マツの実などの果実類をあわせ、蒸し物、煮物、焼物、あえ物、刺身などの料理に仕立てたもので、限られた食材にアイデアと手間を盛り込んだものが多い。
- 栄養面でもタンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラル類に富んだ優れた料理といえる。
- なかでもがんもどき、アワビもどき、ナスのしぎ焼、豆腐のきじ焼、かまぼこにみたてた擬製豆腐、こんにゃくのたぬき汁などの命名法や、こんにゃくの刺身などに、禁じられている肉食への憧(あこが)れが感じられる。
- 精進料理は精進揚げ、ごま豆腐、擬製豆腐、ナスのしぎ焼など、家庭でもよくつくられる料理が多い。
- とくに寺の多い京都の京料理は、精進料理の影響を強く受けているといわれる。
- 中国の精進料理
- 日本の精進料理の元祖であり、日本で使われる食材のほか、冬虫夏草などの菌類、金針菜などの山菜、野菜でとった素湯(スータン)という精進スープを活用し、健康によい食事として一般の生活に定着している。
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