- 古代から利用されてきた金属で、古代エジプト人の墓から鉛の貨幣が発見されている。
- ローマ時代(日本−縄文末期〜古墳時代)には、鉛製の水道管がつくられ、つなぎ目の接合には鉛とスズの合金であるはんだが使われた。
- 元素記号のPbは、鉛をあらわすラテン語plumbumに由来する。
- 性質
- やわらかく、曲げたりのばしたりするのがたやすく、加工しやすい。
- また融点が低いので、溶かして鋳型に流し込むことが容易。
- 用途
- 自動車のバッテリーとして身近な、蓄電池にもっとも多く使われる。
- ケーブルの被覆材として大量に利用されるほか、鉛管、鉛板、タンクの内側の被覆材にも用いられる。
- 鉛は密度が大きく、放射線を透過させないので、X線撮影装置の遮蔽(しゃへい)材としての需要が高い。
- スズとの合金は、はんだ、活字合金、軸受合金など、ひろく使われる。
- 鉛化合物の利用も多く、ペンキや顔料などで大量に消費されている。
- 化合物
- 炭酸鉛の塩基性塩は鉛白(えんぱく)と呼ばれ、2000年もの間、白色顔料として使用されてきた。
- 鉛白は陶磁器のうわぐすりや、他の顔料の製造にも利用されている。
- 近年になって鉛中毒の危険が明らかになり、鉛を含む塗料は室内の塗装に使用されない傾向にある。
- 四エチル鉛は、ガソリンに添加されるアンチノック剤の主成分で、内燃機関の異常燃焼を予防する。
- しかし、大気汚染の原因とみなされており、今日では使用が厳しく規制されている。
- 鉛中毒
- 体内に吸収された鉛は、どのような化合物であっても、深刻な中毒症状を引き起こす。
- 日本では、大正期に鉛白入りのおしろいの使用による鉛中毒が続発し、1930年代(1930(昭和5-)に含鉛おしろいの製造が禁止された。
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