ミイラ
(木乃伊) |
Mummy
(Embalming) |
- 広義には、人間や動物の死体が腐敗することなく原形をとどめているものをいい、乾燥地帯や寒冷地などで偶然できるものも含む。
- 狭義には、腐敗防止の薬品類を使うなどして人工的に作られたもの。
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- 人工的なミイラは、古代エジプトのものがとくに有名で、死後の世界を信じる宗教的な理由によって製造されたと考えられている。
- 古代のミイラ製造法は、脳と内臓を取り除き、空洞に様々な香油、化学物質を詰める。
- 古代エジプト人は、死体を瀝青(れきせい)(天然アスファルトなど)と香料と塩を混ぜた炭酸ソーダにつけ、同じ液に浸した布で巻いた。
- ミイラづくりは、古代のアフリカやアジアからヨーロッパにひろまった。
- 19世紀にフランスとイタリアの科学者が血管に防腐剤を注射する方法を完成させ、死体のすみずみまで防腐剤をいきわたらせることができるようになった。
- アメリカにはエンバーマー(遺体整復師)という職業がある。
- これは、ミイラづくりの延長にあるもので、死体の修復、防腐保存を行う(エンバーミング)。
- 南北戦争のときに始まったとされ、死体の傷や変形を修復するだけでなく、肉付けや化粧を施して生前の元気だったころの美しい、安らかな顔につくりあげる。
- 防腐保存は、遠くの戦地で死んだ者を故郷に運んだり、遠くから親戚が集まるまでに時間がかかることから行われるようになった。
- 方法の基本は、死体から血液とガスをすべて抜き、消毒液を注入すること。
- 内臓はいったん取り出し、特別の液につけ、防腐剤の粉をつけて死体に戻す。
- 日本でも、中尊寺金色堂(岩手県平泉町(ひらいずみちょう))に安置されている奥州藤原氏3代のミイラが有名。
- また、日本、中国には入定(にゅうじょう)ミイラと呼ばれるものがある。
- 弥勒信仰に基づき、断食し、精神を集中して真理を探り求めるための瞑想である禅定(ぜんじょう)のまま死んでいくというもので、死後に処理されるのではなく、自らミイラ化するというところに特徴がある。 →即身仏
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- 名の由来
- ミイラにあたる外国語は、マミイ(英語、mummy)、モミ(フランス語、momie)などで、いずれも瀝青を使用したものを意味するアラビア語の「ムミアイ」から派生したもの。
- 日本語「ミイラ(木乃伊)」は、植物のゴム樹脂から作られた没薬(もつやく)「ミルラ」のなまったものだというが、瀝青もミルラも古代エジプトでミイラ作りに使用されたとされている。
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関連 |
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2010.07.29 |
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