自衛隊 じえいたい
Japan Self-Defense Forces
  • 1954(昭和29)年制定の自衛隊法によって設けられた日本の軍事組織。
  • 法律上の定義としては、防衛大臣をはじめとする防衛省幹部や防衛省本省の内部部局・陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊・防衛大学校・防衛医科大学校・統合幕僚監部その他の機関を含む。
    • 任務は「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当る」と規定されている。
    • 「自衛」という表現は、日本国憲法9条の規定で、日本は「国際紛争を解決する手段としては」永久に戦争を放棄しており、そのために「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と定められているので、「戦力」を有する「軍隊」の存在は憲法違反となるからである。
      • 日本政府の政府見解では自衛隊について通常の観念で考えられる軍隊とは異なるとしている。
        • しかし日本国外においては、一般に"軍隊"として認識されている。
        • 平和主義を標榜する日本では、自衛隊の存在そのものや運用に関しては多くの議論が絶えずなされている。
  • 歴史
    • 警察予備隊
      • 1950(昭和25)年、朝鮮戦争が勃発(ぼっぱつ)した後、占領下の国内治安の維持を任務とする連合軍最高司令官マッカーサーの指令によって警察予備隊が創設された。
        • 形式上は警察機関であったが、実質的には軽武装の軍事組織的性格が強かった。
      • 翌1951(昭和26)年、サンフランシスコ講和条約が締結され、同時に日本とアメリカとの間には日米安保条約が締結された。
        • ソ連との冷戦の進行の中で、アメリカは東アジア地域においては安保条約に基づく在日米軍を極東戦略の要としながら、独立回復後の日本の防衛力の強化をも期待せざるをえなかった。
    • 保安庁と保安隊
      • 1952(昭和27)年、海上保安庁内に海上警備隊が設置され、さらにサンフランシスコ条約発効後に、警察予備隊と海上警備隊を統括する保安庁が設置された。
        • これに伴って、警察予備隊は保安隊に、海上警備隊は警備隊に改称された。
      • 1954(昭和29)年、日米相互防衛援助協定(MSA協定)が調印され、アメリカから武器その他の援助を受ける代わりに、日本側も防衛力の増強を義務づけられることになった。
    • 自衛隊
      • 1954(昭和29)年、防衛庁設置法と自衛隊法(防衛2法)が公布・施行された。
        • 保安隊は陸上自衛隊に、警備隊は海上自衛隊に改編されるとともに、航空自衛隊が新設され、以上の3自衛隊を統括する防衛庁が総理府(現、内閣府)の外局として設置された。
      • 以後、国を守るという重要な任務を帯びた自衛隊を統括する防衛庁を、諸外国の国防省と同レベルの省へ格上げすべきだという議論がたびたび起こった。
      • 一方で、PKO(国連平和維持活動)や多国籍軍の後方支援という形で海外派遣されることも多くなり、自衛隊の役割は、単に日本の領土を守るという範疇(はんちゅう)を超えて広がった。
    • 防衛省
      • 自衛隊の役割を改めて定義づけ、迅速な対応を行えるだけの地位と権限を与えるべきだ、との声に後押しされて、2006(平成18)年、防衛庁設置法や自衛隊法など多くの関連法案を改正し、防衛庁を防衛省に格上げする法案が国会を通過し、2007(平成19)年、防衛省が誕生した。
  • 指揮監督
    • 国会
      • 民主主義国家の軍事組織に対してはシビリアン・コントロール(文民統制)が原則であるが、日本でも国会が自衛隊の定員・予算・組織などの重要事項を議決し、防衛出動に承認を与えることで自衛隊をコントロールする。
      • 内閣
        • 憲法の規定で、文民で構成されており、自衛隊の最高指揮監督権を持つのは内閣総理大臣である。
        • 防衛大臣
          • 国務大臣である防衛大臣は、内閣総理大臣の指揮監督を受け、自衛隊の隊務を統括する。
          • 統合幕僚長(とうごうばくりょうちょう)
            • 自衛隊最上位である統合幕僚長は、陸・海・空の自衛隊を代表して一元的に防衛大臣を補佐し、3自衛隊の運用に関し必要な措置(そち)をとることができる。
            • 陸上・海上・航空幕僚長
              • 自衛官の陸上幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長は、運用以外の隊務について防衛大臣の指揮監督を受け、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の隊務および隊員の服務を監督する。
  • 組織
    • 階級
      • 防衛大臣のもとに、副大臣や大臣政務官、事務次官、参事官がいて、内部部局、統合幕僚監部、付属機関と陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊が置かれている。
      • 自衛官は特別職の国家公務員である。
    • 陸・海・空自衛隊
      • 各自衛隊にはそれぞれ、幕僚機関として幕僚監部とその長である幕僚長が置かれる。
      • 陸上自衛隊
        • 北部・東北・東部・中部・西部の5つの方面隊とその他の部隊・機関から構成される。
      • 海上自衛隊
        • 護衛艦隊・航空集団・潜水艦隊・掃海隊群・輸送隊・訓練指導隊などで成り立つ自衛艦隊と5つの地方隊、教育航空集団、練習艦隊その他の部隊で構成される。
        • 自衛艦隊は領海と公海での海上作戦、各地方隊は担当沿岸海域での警備と基地の運営を行う。
      • 航空自衛隊
        • 北部・中部・西部の3方面隊と南西航空混成団から成り立つ航空総隊と航空支援集団、飛行教育集団、補給本部、航空開発実験集団などで構成される。
    • 防衛省の付属機関
      • 防衛大学校
        • 幹部自衛官の教育訓練を行う。
      • 防衛医科大学校
        • 医師である幹部自衛官の教育訓練を行う。
      • 防衛研究所
        • 自衛隊の管理・運営に関する基本的な調査研究や幹部の教育訓練を行う。
      • 技術研究本部
        • 自衛隊の装備品についての技術的調査研究や設計・試験を行う。
      • 契約本部
        • 装備品の調達を行う。
    • 防衛施設庁(廃止)
      • 防衛省の外局として置かれていた国の行政機関。
      • 自衛隊の施設の取得、建設工事の実施、自衛隊の施設に供される行政財産の管理と在日米軍に対する施設や区域の提供、在日米軍に対する日本人従業員の雇用管理などを行っていた。
      • 2007(平成19)年、防衛省誕生を機に解体され、その機能は本省の内部部局に再編された。
  • 災害派遣
    • 自衛隊法によって定められており、天災・人災を問わず災害時に各都道府県知事、災害対策本部長などの要請によって防衛大臣やその指定するものが部隊等に出動を命令し、救援活動を行う。
    • 大規模災害など、要請を待つ間がないほどの緊急事態と考えられる場合は、要請を待たないで情報収集や救助のため部隊を派遣することができる。
  • 2011(平成23)年11月、民主党菅直人政権の仙谷由人(せんごくよしと)官房長官は国会の答弁で「暴力装置でもある自衛隊」と発言した。
    • 「暴力装置」の言葉は、長官の学生運動時代の左翼でよく使われた軍隊に対する表現だった。
  • 参考:エンカルタ2007/Wikipedia
関連
関連HP
防衛省・自衛隊
防衛省動画チャンネル(YouTube)
自衛隊(YouTube)
2011.10.28

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