レーダー Radar
  • 照射した電波の反射を利用して視界にない物体の位置を把握し、電波の往復時間により物体までの距離を測定する装置。
  • radio detection and rangingの略。
  • 目標の存在とその距離だけでなく、目標の空間的な位置や大きさ、形、移動の方向と速さも確認することができる。
  • 当初は軍事目的に開発された。
  • レーダーには、目標物に照射した電波の反射を利用する1次レーダーと、目標物が発射する電波を使う2次レーダーがあるが、普通は1次レーダーのことをレーダーと呼んでいる。
  • 方式としてはパルス状の電波を使うパルスレーダーが最も多く活用されている。
  • 歴史
    • 1888(明治21)年、ドイツの物理学者H.R.ヘルツ電波の存在を初めて実証し、電波は直進して反射することを発見した。
    • 1900(明治33)年、ロシア出身でアメリカの電気技術者テスラが電波を使ったレーダーの概念を発表した。
    • 1904(明治37)年、ドイツのヒルシュマイヤーは、船舶衝突防止用のレーダーの特許を取得した。
    • 1922(大正11)年、イタリアのマルコーニが、電波で海上の物体をとらえる装置が製作できることを提唱した。
    • 1924(大正13)年、イギリスの物理学者アップルトンは、長波を使って電離圏の存在を実験的に証明した。
      • これは、電波を使った距離測定実験の初の成功例となった。
    • 1925(大正14)年、アメリカの物理学者ブライトとチューブがそれぞれ独自に、パルス状の電波を使って電離圏の高度を測定することに成功し、それが今日のパルスレーダーの原型となった。
    • 1935(昭和10)年、イギリスの物理学者ワトソン・ワットは、初の実用的なレーダー装置を開発した。
      • この発明をもとにイギリスは、1939(昭和14)年までに南部及び東部の沿岸に、敵機や敵艦の接近を警戒するレーダーを配備した。
      • また、同じころに、マグネトロンと呼ばれる電子管を使った大出力の高周波パルスを発振する技術も確立された。
        • この技術から、極超短波(UHF)を利用するマイクロ波レーダーが誕生した。
    • 1936(昭和11)年、ドイツでも海軍が2m波長のパルスレーダーの実験を行った。
      • 1939(昭和14)年ごろ、空軍も超短波の600MHz帯(波長50cm)で直径3mのパラボラアンテナを備えた本格的なレーダーを完成させている。
    • 日本ではレーダーのことを電探(電波探知機の略)と呼び、1939(昭和14)年に陸軍がメートル波のものを、1941(昭和16)年には海軍が波長10cmのものを開発し、終戦までに数種のものが開発された。
    • 現在と同様のレーダーを完成させたのはアメリカで、1940(昭和15)年から開発を始め、終戦までにレーダーに不可欠なマイクロ波電子管や表示装置、またロランなどの電波航法装置、計器着陸システムといった航空機の着陸支援装置を開発している。
  • 参考:エンカルタ2007
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2011.03.29

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