カロテン
(カロチン)
Carotene
  • カロチノイド色素の一種で、黄色や橙色をした植物、ニンジン、カボチャ、ピーマン・トウガラシなど緑や黄色の濃い緑黄色野菜に含まれる。
  • 油脂によく溶ける性質をもち、約100種類ほどが知られている。
  • 栄養としてのカロテン
    • カロテンはヒトの栄養からみると、ビタミンAになる前段階の物質であり、そのためプロビタミンA(provitamin A、ビタミンA前駆物質)と呼ばれる。
      • 植物の中に含まれるカロテンは、草食動物やヒトの体の中で酸化されてビタミンAに変化し、栄養素としての機能を果たす。
      • カロテンやビタミンAは脂肪といっしょに摂取すると吸収がよく、吸収されたものは肝臓に貯えられる。
    • カロテンにはα-カロテン(アルファカロテン)、β-カロテン(ベータカロテン)のほか、γ(ガンマ)、δ(デルタ)、ε(イプシロン)など多くの異性体(化学構造の一部が少し異なる仲間の物質)が存在するが、α-カロテンとβ-カロテンが最も広く分布しており、β-カロテンの量が最も多い。
      • ビタミンAとしての効力はβ-カロテンがもっとも大きい。
      • ビタミンAが酸化されるとレチネン(レチナール)という物質が生成されるが、これがオプシンというタンパク質と結合して視紅、別名ロドプシンを形成し、視覚の光受容を支配する。
        • ビタミンAが欠乏しレチネンの補給が不足すると、視紅が充分生成されないために、暗調応に時間がかかる。
        • 欠乏がさらに進行すると、薄暗いところで目が見えなくなる夜盲症になる。
          • 角膜が乾燥する眼乾燥症や、ひどい欠乏の場合は角膜軟化症などを引き起こす。
      • ビタミンA欠乏はまた、上皮組織に異常をきたし、粘膜の抵抗力を減少させるため、皮膚が乾燥してあれたり、ひびやあかぎれを起こしやすくなる。
      • カロテンは人体内でビタミンAとしての働きをするが、ビタミンAに比べて吸収が劣り、食物として摂取する場合は1/3の効果に等しいとみなされる。
  • かつては「カロチン」と呼ばれていたが、文部科学省管轄の「日本食品標準成分表」の2000(平成12)年の改訂版により「カロテン」に統一された。
  • 参考:エンカルタ2007
*2010/08/31

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