- 18世紀ドイツの化学者ゲオルグ・シュタール(1660〜1734/日本−江戸時代前中期)は、精神は有機的な身体の成長にかかせない生命の原理であると主張し、これをアニミズムと呼んだ。
- しかし19世紀以降、この用語はおもに人類学で使用されるようになり、イギリスの人類学者タイラーは、宗教の起源をアニミズムであるとした。
- タイラーは「原始文化」(1871(明治4)年)の中で、アニミズムを霊的存在に対する信仰一般と定義し、宗教の最も単純で原始的形態であるとのべた。
- そして素朴なものから複雑なものまで宗教はすべて、なんらかの形でアニミズムを含んでいると主張した。
- 文字文化をもたない原始的な人々は、精神や魂を人間の生命の根本原因ととらえ、気体や影のような存在である魂が、人から人へ、死者から生者へと移りすむだけではなく、植物、動物、生命なき物体の間をも行き来すると信じていた。
- こうしたアニミズムは彼らが夢や死の原因をつきつめていく中で生まれたのだと考えた。
- しかし、同じイギリスの人類学者であるマレットはタイラーを批判し、原始的な人々はタイラーが考えるほど理性的だったわけではなく、宗教の起源はより情緒的で直感的なものだったはずだと主張した。
- 地上に存在する物はすべて生命をもっていると原始的な人々は考えていたとするタイラーの理論を否定し、彼らは日常の常識ではわりきれない、予測不可能なあるいは神秘的な行動を起こす物だけが生命をもっているとみなしていた、と考えた。
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