タロ、ジロ |
- 日本の南極観測隊において1958(昭和33)年に南極に取り残され、翌、1959(昭和34)年に生きて発見された、当時使われていた犬ぞりのための犬の内の2匹のカラフト犬(けん)(樺太犬)。
|
- 経緯
- 1958(昭和33)年、昭和基地にいる第1次越冬隊と交替するため第2次越冬隊を乗せた南極観測船「宗谷」(そうや)は南極付近に到着。
- しかし、天候が悪化し、かろうじて第2次越冬隊が小型雪上車で観測船に到着。
- この際、昭和基地のカラフト犬15匹が鎖につながれたままにされた。
- これは第3次越冬隊とすぐに交替する予定であったためと思われる。
- 遭難の危険があったため第2次越冬隊の派遣は断念され、帰国した。
- 観測隊は非難にさらされ、身の危険を感じた隊員もいたらしい。
- 1959(昭和34)年、第3次越冬隊によって2匹の犬が生存していることが確認される。
- 7頭は首輪につながれたまま死んでおり、6頭は行方不明になっていた。
- タロ、ジロ生存の報は熱狂的に受け入れられた。
- 歌が作られたり、日本動物愛護協会によって、開業したばかりの東京タワー(東京都港区)の根元に15頭の樺太犬記念像「南極観測ではたらいたカラフト犬の記念像」が設置された。
- 像の製作者はハチ公像(東京都渋谷区)の彫刻家だった。
- ジロは1960(昭和35)年、5歳で第4次越冬の昭和基地で病死。
- タロは1961(昭和36)年、第4次越冬隊とともに帰国、1970(昭和45)年、14歳7か月(人間でいえば80〜90歳)の老衰で死亡。
- 飼われていた北海道大学植物園(札幌市中央区)で剥製として展示されている。
- 映画「南極物語」
- タロ、ジロ発見を映画にしたフジテレビ製作、1983(昭和58)年公開の『南極物語』は大ヒットとなる。
- 1997(平成9)年の『もののけ姫』が更新するまで日本映画の興行記録を持っていた。
- 宣伝キャッチコピーは、「どうして見捨てたのですか なぜ犬たちを連れて帰ってくれなかったのですか」。
- 音楽:ヴァンゲリス
- 主なキャスト:高倉健、渡瀬恒彦、夏目雅子、荻野目慶子
- 生態系から見た視点
- 一般的には、この話は生き抜いた犬達の感動的な美談として知られているが、まったく別の視点もある。
- 犬はペンギンなどを捕食するので、解き放つと生態系に影響を及ぼすため、意図してはいなかったが、結果としては防いだ(一部が逃げてはいるが)。
- 当時、ショート・ショートで知られたSF作家の星新一、漫画家の藤子・F・不二雄が、捕食される側から見た視点の作品を発表している。
- 音楽家の團伊玖磨(だん いくま)は、タロとジロを題材としたラジオドラマの音楽の仕事を断ったという。
- 現在は生態系保護のため、南極に生物の持ち込みは禁止されている。
|
|
関連HP |
稚内市(北海道)
・・・南極観測樺太犬 |
北海道大学植物園・博物館
・・・博物館本館展示室 |
■ジロの剥製(実物)・・・日本人と自然:国立科学博物館日本館(東京都台東区)
2011/2/16 |
■カラフト犬の碑・・・東京タワー(東京都港区)
2004/7/1 |
2011.07.12 |
|