- 古くはマイマイと呼ばれた。
- 「角よ出い出い」や「出よ出よ虫」から転じたデンデンムシという名でもなじみ深い。
- ナメクジは、殻の退化したカタツムリ。
- 体は細長く、体表はいつも粘液で湿っている。
- 背上に、ふつうは右に巻いた殻をもち、その中に内臓が入っている。
- 腹側の足は前後に長く、ほぼ全長にわたり、足裏は平ら。
- 粘液を分泌しながら、その上をはう。
- 頭部には2対の触角がある。
- 口の中には顎板(がくばん)と、おろし金状の歯舌の上に数千もの歯が並ぶ。
- 一般に雌雄同体で、雌雄両性の生殖器をもつ。
- 右触角の後方に生殖孔があり、ここから陰茎が出る。
- 交尾は互いに陰茎を挿入しあって精子を交換する。
- 生殖期はおもに梅雨期であるが、相手がいないときは自家受精をすることもある。
- 活動は日没後と夜明け前に盛んになるが、雨が降って湿度が高くなると、昼間でも活動する。
- 大半が植物食性で、とくに菌類を好むが、野菜なども食害する。
- 肉食性のものもわずかにいる。
- 世界で約1万1000種、日本では700種以上が知られる。
- カタツムリは移動範囲がきわめて狭いので、わずかな地形の違いによって多くの種に分化する。
- さらに同じ種でも、環境によって形態は異なってくる。
- ヨーロッパでは、ギリシャ・ローマ時代(日本−縄文時代後期〜古墳時代)以来、エスカルゴが食用とされている。
- 18世紀末(日本-江戸時代中期)にはパリでも食べられるようになり、現在ではフランス料理の食用カタツムリとしてよく知られる。
- 日本では、カタツムリを食用とする風習はなく、童謡にうたわれるなど、身近な小動物として親しまれてきた。
- カタツムリは日本では方言の宝庫である。
- 1927(昭和2)年、柳田国男は「人類学雑誌」に「蝸牛(かぎゅう)考」を連載し、カタツムリを例にとって、方言の時代差と地方差についての考察を発表した。
- これによれば、カタツムリの方言には、「デンデンムシ系」「マイマイ系」「ヂュロまたはダイロ系」「ナメクジと同名系」「カタツムリ系」「ツブラ系」「ミナムシまたはヤマニナ(蜷)系」などがあり、それぞれについて、方言量、方言領域、方言境界、方言複合などを調査し、整理している。
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