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タイ仏教寺院の建築様式
●寺院の格
○王室寺院(ワット・ルアン/国王が建立)
プラケオを頂点にしてタイ全土に155寺
○私立寺院(ワット・ラート) タイ全土に3万寺
タイ国民にとって最高の
タンブン
は寺院を建立 することであるから、増えることはあっても減る ことはない。
しかし、人気がなくなって打ち捨て られる寺院も多く、住職のいない廃寺は4000 寺以上あるという。
●境内
プッタワート ・・・本堂、礼拝堂、仏塔など寺院を構成する重要建築物が建つ。
サンカワート ・・・寺院で修行する僧侶の起居する僧坊がある。
●装飾/外装
チョーファー ・・・
破風
の頂点にある黄金の突起物。タイ国の守護神でもある聖鳥ガルーダを かたどっている。
バイカラー ・・・
チョーファー
から流れるように斜めに下っていくぎざぎざの装飾。ガルーダ の翼とナーガ神(蛇神。タイ語でナーク)の鱗を表現している。
ハーンホン ・・・
バイカラー
から突き出しているナーガの頭部を表す突起物。(瓦の下も同様) 華美な装飾はインドの神話にちなんでおり、信仰の要となっている上部座仏 教とは本 来関係ないが、この無理を強引にねじ伏せて納得させているところがタイの文化である。
●本堂
寺院で最も大切な
本尊
を安置している。
○本尊
本堂の中に安置されている仏像。
■降魔印
(ごうまいん)
・・・(マラヴィジャヤ)
伏せた右手をひざの上、左手を座禅を組んだ足の上に置く。
修行を妨害しようとして訪れた悪魔の襲撃をゴータマ・シッールタ(釈迦)がはねつけ、垂らした指先の地面が割れて悪魔が吸い込まれた模様を表す。
ほとんどがこの型を取っている。
聖なる仏陀像は下からはいつくばるようにして拝むのが本当。
■禅定印・・・(サマディ)
瞑想中の手の組みを表しており、両手をつけてヘソの下におく型。
○本堂内壁
本堂内部の壁は見事な仏教画で装飾されていることが多い。
・王室寺院の中には
ラーマキエン物語
を絵解きしたものもあるが、ラーマキエンは仏教とは無関係という意見もあるので最近の民間寺院には採用されていない。
○回廊
俗界と聖域を区別する。
格式のある寺院などではこの内側に大小様式各種揃った仏像がぎっしりと並べられ、仏像の博物館のようになっている。
○礼拝堂(ウィハーン,
伽藍
)
本尊以外の仏像を安置している。
最近は本堂内で宗教儀式を行うため、その規模や重要性は小さくなっている。
○仏塔(チェディ,プラーン)
本来、仏舎利(釈迦の遺骨)を納めるためにできたが、後に重要な仏法に関するものを祭る建築物へと性格を変えていった。
■チェディ円錐形の仏塔
スリランカ型 完全な釣鐘型円錐。上座部仏教の基礎を築いたスリランカから伝来した正統派。
釣鐘型であるが、台座が多角形、直線を基調とした細長い小型方形チェディ。ワット・ポー境内などで見られタイにおいて独自に開発された。
■プラーン
トウモロコシのような形の仏塔
■タート
平面を多用した非円錐形の仏塔で、東北部・南部タイではよく見かけるが、バンコクでは一般的でない。
仏塔の頂点は仏教の最高到達点である
涅槃
を表す。
区切りや段差ごとに仏教一般についての説明がある。
最下段の台座はわれわれが住んでいる世界全体を表す。
プラーン
はヒンドゥー教には欠かせない様式であり、塔の先端に飾られている避雷針のようなものは、ヒンドゥー3大神のひとりであるシヴァ神の象徴をかたどったもの(ノッパスーン)。
中腹には、インドラ神やその乗り物である三頭象が装飾を兼ねた意匠として彫り込まれていることもある。
○サーラとクティ
サーラ ・・・休憩や集会に使う小屋。
東屋
という意味。
クティ ・・・僧侶が起居する小屋。
○小学校/僧侶のための仏教大学
タイの寺院の多くは小学校を併設している。
日本でいうところの寺子屋。地方では学校と寺院は同義語である。
王室寺院の中には僧侶に高度な仏教学を授けるための仏教大学を構えているところがある。
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