最近、歴史的建造物や場所を訪ねるときは、あらかじめガイドブックや事典などで情報を調べてから行くことにしている。それは、はるか昔にその場所で実際に生きていた人が、歴史上の事を起こしたことを想像すると、ワクワクした気持ちが起きることが楽しいからである。

 この気持ちを人に伝えるにはどう表現したらいいかと思っていた。最近、テレビで海外CMの紹介番組を見たとき、その中に航空会社のCMがあった。村の食堂に人が集まっていて、その村の出身者の若者からの手紙を読んでいる。「パイロットになったので、ちょうど飛行コースが村の上を通っているから、指定時間に見てください。」というものだった。そして、夜、はるか上空を瞬きながら飛んでいく飛行機に向かって、集まった人々が手を振るというものだった。

 これだ、と思った。飛行機に乗っている知り合いが見えるわけではないが、そこにいることを想像して、みんな手を振る。つまり、これは空間的な想像である。これを広げて考えると、その場所で歴史のことを考えるということは、時間的な想像である。その場所で、はるか昔に確かに生きていた人が、そこにいたのだなあと思うと、手も振りたくなってくるかもしれない。
歴史の舞台において想像することの楽しさ
2004年01月07日
InfoMap TOP|InfoMAPとは