- 健康な体では、体内の環境は一定に保たれているが、外部から刺激が加わると体内環境に変化が生じる。
- 侵襲
- 外傷、熱傷、手術、出血、感染、急性膵炎(すいえん)など、体内の環境を変化させる、望ましくない刺激。
- 生体は、侵襲を受けると、それを避けて元の一定の環境を取り戻そうと反応する。
- サイトカイン(Cytokine)
- 生体は元に戻そうとするときに様々なサイトカインを作りだす。
- サイトカインの中には、炎症が起こっている場所に、白血球の一種である「好中球」を集めて、作用させるものもある。
- 好中球は、本来、細菌などが体内に入ってくると、この外敵をやっつけるために、組織を破壊する「フリーラジカル」をつくり出し、細菌を食べてしまう働きがある。
- しかし、大きな侵襲を受けてサイトカインが多量に作られると、好中球は炎症が起こっている場所だけでなく、重要な臓器にも送り込まれる。
- 重要な臓器に集まった好中球は、その臓器を攻撃し、破壊しようとする。
- これが臓器不全である。
- そして同時に複数の臓器が破壊される状態が多臓器不全である。
- このように、生体が侵襲を受けると、サイトカインが重要な働きをするという概念を、1991(平成3)年、アメリカで全身性炎症反応症候群(ぜんしんせいえんしょうはんのうしょうこうぐん)(SIRS/Systemic Inflammatory Response Syndrome)として提唱された。
- これは、大きな侵襲を受けた重症患者に共通してみられる病態である。
- SIRSの中で、感染によって起こったものは敗血症(sepsis)と呼ばれる。
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