森林浴 |
しんりんよく |
- 森の大気の中で、心身をリフレッシュするという意味を持った造語。
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- 982(昭和57)年、当時の林野庁長官が発表した、自然休養林などの国有林を積極的に利用しながら、健康な体づくりをしようという趣旨の「森林浴構想」をきっかけに生まれた。
- 森林に人の心を落ち着かせ、頭や気分をすっきりさせる力があることは、昔から知られていた。
- 森林には、清涼感のある独特の香りがある。
- 香りの成分は、フェノール類、炭化水素類、エステル類、脂肪酸類、テルペン類など多種に及ぶ。
- 森林の大気中で最も多い成分はテルペン類(炭化水素化合物の一種)。
- 揮発性のテルペン類は、香料の原料として昔からよく使われてきた。
- 抗菌剤や消炎剤としても優れた作用があることも早くから知られていた。
- 森林に漂うテルペン類の香りの作用が、科学的分析によって証明されたのは比較的最近のこと。
- テルペン類などの有用成分を嗅ぐと、交感神経系の緊張が和らぎ、脈拍数の減少や血圧の低下などの鎮静効果が現れる。
- 指先などの血の循環もよくなる。
- テルペン類の作用は、樹木によっても異なる。
- ヒノキやヒバから発散されるヒノキチオールには抗菌作用があり、マツヤニのにおいは喘息(ぜんそく)の発作を抑える。
- 樹木の香り成分は精油として抽出され、アロマテラピーなどにも利用されている。
- フィトンチッド
- 森林浴という言葉とともに近年よく使われる、「フィトン」(植物)と「チッド」(殺す)の合成語。
- カビや細菌、害虫などから身をまもるために、植物が葉や幹、花などから放出している抵抗物質をいう。
- 1930(昭和5)年、旧ソ連の生態学者B.トーキンによって発見された。
- 森林の大気中にも、樹木や草から放出された揮発性のフィトンチッドが多量に含まれている。
- 森林独特の香りは、フィトンチッドの香りと考えられる。
- 森林浴で浴びるフィトンチッドが体に良いとされるのは、フィトンチッド中のテルペン類が自律神経系に作用し、集中力を高め、気持ちを安定させる効果があるため。
- 森林浴という言葉は日本で生まれたが、森の中を歩いて体を鍛え、心身をリフレッシュすることは、昔から世界各国で行われていた。
- 特に自然環境衛生学、生気象学、保養行動学、温泉医療学など多角的見地から、総合的な「温泉保養地システム」が確立されているドイツでは、温泉保養地と広大な森林浴コースとを合体させた療養システムを積極的に推し進めている。
- そのほか、森林の中の人体に有用な大気成分を生かし、そのような環境の中で慢性疾患などの治療と療養をおこなうフィジオセラピー(自然健康療法)も、最近では世界的に盛んになりつつある。
- 環境破壊が叫ばれてはいるものの、豊富な温泉と、国土の約7割が森林に覆われている日本は、医療的な意味も含め、森林浴には最適の環境にあるといえる。
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関連 |
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- 森林浴発祥の地である「赤沢自然休養林」がある長野県上松町
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関連HP |
公益財団法人森林文化協会
・・・森林浴の森100選 |
2011.07.16 |
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